マンションを売って住み替える方法と諸費用
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居住中のマンションを売って、その売却代金で新居へ住み替えたい人も多いかと思います。
その際は、何にどれくらいお金がかかるのかを見積もっておくことで、住み替えが円滑に進みやすくなります。
今回は、住んでいるマンションを売却し、新居へ住み替える方法と、その際にかかる諸費用について説明します。
目次
なぜ住み替えを検討しているのか、目的を明確にする
マンションを売却し、住み替えを検討している人の目的はさまざまです。
たとえば、「家族が増えるので、それに合う広さ・間取りの住宅に住みたい」「子どもの希望する学校に通いやすい地域に住みたい」などです。
そのような住み替え理由であれば、引っ越せば目的を実現できるので、そのまま住み替えの具体的な資金計画を立てて問題ないでしょう。
しかし、立地の良いマンションに住み替えたいなど、今すぐに住み替える必要のない目的ならば、住み替えについて時間をかけてじっくり考えたほうがよいでしょう。
また、住み替えには住居の売却や新居の購入、引っ越しなどで多くの資金が動きます。住み替えの目的と時期を明確にしたうえで、資金計画を立てましょう。
住み替えは資金計画が重要
資金が十分にあり、そのお金で新居を購入するだけなら、何も悩む必要はありません。
しかし、居住中のマンションを売却して得た代金を元に新居を購入する場合は、スムーズに住み替えるには計画を練る必要があります。
なぜなら、居住中マンションの住宅ローンを同じマンションの売却代金で完済し、さらに新居用の住宅ローンの契約を結ぶ、という手順を踏まないと資金不足になってしまうからです。
もし、マンションの売却代金が住宅ローンの残債を下回ると完済できないので、預金も使って返済しないと住み替えできなくなることも十分考えられます。
住み替えの計画は順序立てて、マンション売却価格の相場を把握するところから始めましょう。
マンション売却価格を把握する方法
マンション売却価格の相場を知るには、不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。
査定はあなたの提供する物件情報に基づいて簡単に査定する「机上査定(きじょうさてい)」と、不動産会社の社員が実際に来て物件を査定する「訪問査定」の2種類があります。
机上査定は簡易的な査定なので短時間で終わりますが、査定価格の精度が訪問査定より落ちます。
一方の訪問査定は、しっかり調べてもらえるので査定価格の精度が高いメリットはありますが、査定をする不動産会社はマンション売却の仲介依頼もしてもらえるものと期待しているかもしれません。
訪問査定をお願いするなら、仲介も依頼するつもりで臨みましょう。
また、査定価格は不動産会社によって異なります。
相場をより正確に知るには、複数の不動産会社に査定を依頼する必要がありますが、1社ずつ依頼すると時間も手間もかかってしまいます。
そんなときは「不動産一括査定サービス」を活用しましょう。あなたのマンション情報を一度入力するだけで、このサービスと提携している不動産会社に査定依頼の連絡が届き、その結果を見比べられます。
住み替えにかかる費用
住み替えにかかる費用は、大きく以下の3つに分類できます。
- マンション売却時に発生する費用
- マンション購入時に発生する費用
- 仮住まい時に発生する費用
各費用について、詳しく見ていきましょう。
マンション売却時に発生する費用
マンション売却時には、以下のような費用が発生します。
- 抵当権抹消登記費用
- 一括繰上げ返済手数料(全額繰上完済手数料)
- 売買契約にかかる印紙代
- 仲介手数料、司法書士への報酬
抵当権抹消登記費用
住宅ローンを組んで購入したマンションには、「抵当権」というものが設定されています。
抵当権を抹消(解除)しておく、もしくはマンションを引き渡すまでに抵当権を抹消する契約をしないと、売買契約が成立しても引き渡しができないことになりかねません。
マンションを売るなら引き渡しまでに必ず抵当権を抹消しましょう。
抵当権を抹消するには、抵当権抹消登記を行う費用がかかります。
抵当権抹消登記は自分でも手続き可能で(司法書士に代理してもらうのが一般的)、具体的には登録免許税を払うため印紙代と、登記事項証明書の発行にお金がかかります。
一般的なマンションであれば印紙代は2000円で、登記事項証明書の発行手数料は600円(オンラインでの請求なら500円)です。
時間がないときや手続きの手間を省きたいときは、司法書士に依頼することになります。
報酬費用は依頼先によって異なりますが、1万円~2万円程度を見積もっておくとよいでしょう。
一括繰上げ返済手数料(全額繰上完済手数料)
マンションにかかっている住宅ローンの残債を清算する際、「一括繰上げ返済手数料(全額繰上完済手数料)」が発生します。
金融機関やローンの種類によって金額は異なり、たとえば、みずほ銀行なら3万2400円がかかり、条件変更手数料1万800円と印紙代なども別途発生します。
正確な金額は、住宅ローンを契約している金融機関のWebサイトなどで確認しましょう。
(参照:みずほ銀行「みずほ住宅ローン商品概要」https://www.mizuhobank.co.jp/retail/products/loan/housing/new_branch/summary.html)
売買契約にかかる印紙代
売買契約時に交わす売買契約書には印紙が必要です。
印紙代はマンションの売買代金によって異なり、売買代金が1000万円超え5000万円以下で1万円、5000万円超え1億円以下だと3万円です。
仲介手数料
不動産会社に依頼して売買が成立すると、不動産会社に仲介手数料を払います。
一般的に仲介手数料の上限は「売却代金×3%+6万円+消費税」で求められます。
マンション購入時の費用
マンション購入時には以下のような費用がかかります。
- 住宅ローンの諸経費
- 火災保険費用
- 公租公課・管理費等の清算金
- リフォーム・クリーニング費用
- 売買契約にかかる印紙代
- 登記費用
- 仲介手数料
住み替え先のマンション購入にあたって、新規に住宅ローンを契約する際は、住宅ローンの保証会社に保証料を支払います。一括支払いなら総額に加算し、分割支払いなら毎月の返済に加算するといった形で支払うのが一般的です。
住宅ローンの契約と同時に、金融機関から火災保険へ加入が義務付けられます。火災保険料は1年間でおよそ1万5000円程度です。
支払い方法を年払いではなく一括払いにすると火災保険料を抑えられますが、火災保険内容の変更ができなくなるか、しにくくなります。
固定資産税や都市計画税といった公租公課は、1月1日にマンションを所有している人に対して、その年の1年分が課税されます。
マンション購入日以降の公租公課は買主が日割りで負担するよう契約するケースが多く見られます。管理費や毎月の修繕積立金についても、買主が日割りで負担します。
また、住み替え先のマンションの状況によっては、リフォームやクリーニングが必要になり、その費用がかかることがあります。
さらに、マンション売却時と同様、売買契約にかかる印紙代や登記費用、仲介手数料がかかります。
マンション購入時はさまざまな費用がかかるため、すべての項目を洗い出して見積もるのは大変かと思います。そういったときは、マンション購入代金の1%~15%程度を諸費用の目安としておくとよいでしょう。
仮住まい時の費用
住んでいたマンションの売却が完了すると、新居が決まるまでの仮住まいが必要になります。仮住まいには、以下のような費用が発生します。
- 仮住まい費用
- 仮住まいへの引っ越し費用
- 荷物保管費用(トランクルームなどの利用料)
仮住まいする賃貸住宅の費用や、トランクルームなどの荷物保管費用は、時間の経過とともに費用がかさんでいきます。また、仮住まいへの引っ越し費用もかかるので、出費は大きなものとなり得ます。
マンション住み替えは、マンション売却と新居購入のタイミングをなるべく合わせることも重要です。
売却と購入のタイミング
マンションからの住み替えは、無駄な費用を抑えるためにも売却と購入を同時に完了できるのが理想ですが、同時になることはほとんどありません。
もし、売却活動・購入活動のどちらかを先に始めると、どんなメリットとデメリットが発生するのか、見ていきましょう。
売却活動を先行させる場合
売却活動を先行すると、当然ですが売却に時間をかけやすくなります。
新居を買うよりも先に売却したほうが資金的に余裕もできるので、焦ることなく売却活動ができるでしょう。急いでいるからといって安易な値引きに応じてしまう事態にも陥りづらくなります。
一方で、売却が完了しても新居がない状態になると、仮住まいが必要になります。
仮住まい関連で支出が生じるほか、仮住まい期間を短くしたいという思いから、新居の購入を焦ってしまいがちになることがデメリットといえます。
購入活動を先行させる場合
購入活動を先行すると新居購入に時間をかけやすくなるので、住み替え先をじっくりと選べますし、購入も終われば仮住まい分の費用を削減できます。
ただ、マンション売却が間に合わず、新居購入時に必要な手付金や仲介手数料をマンション売却代金であてられない事態になると、購入資金の資金繰りが大変になってしまいます。
早くマンションを売るために、想定以上にマンションを値引きして売却する可能性も生まれるのがデメリットです。
購入・売却どちらを先行すべきか
資金に余裕がないなら、マンション売却を先行した方が無難です。住宅ローンを完済している、または資金的に余裕があって新居選びを重視したいなら、新居購入を先行しても問題ありません。
売却がうまくいかない場合は、不動産会社による「買取保証」を活用することも選択肢に入れておきましょう。買取保証とは、設定した期間中にマンションが売れなかったら不動産会社が買い取ってくれるしくみですが、売却価格は相場より10~30%程度安くなるケースが多いです。
また、新居が中古住宅で、誰かが住んでいるなら、購入後の引き渡しのタイミングも含めて調整しておきましょう。自分が住んでいないにも関わらず、ローンを払うことになりかねません。
各種特例をうまく活用する
マンション売却によって生まれる利益を譲渡所得といい、譲渡所得には譲渡所得税という税金が課せられます。譲渡所得税は売却したマンションの所有期間によって税率が変わりますが、通常であれば20.315%かかります。
住み替え資金を少しでも節約するため、以下の3つの特例を活用してみましょう。
- 居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例
- 特定の居住用財産の買換えの特例
- 譲渡損失の損益通算及び繰越控除
それぞれの特例について見ていきましょう。
居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例
「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」(3000万円の特別控除の特例)とは、住んでいるマンションを売却したら、所有期間の長さに関係なく、譲渡所得(売却益)から最高3000万円まで控除できる特例です。
短期間の転売目的ではなく、自分が住むために購入したマンションで、身内を除いた第三者に売却する場合であれば、ほぼ適用されます。
なお、この制度の適用期間は2021年(令和3年)12月31日までです。
特定の居住用財産の買換えの特例
「特定の居住用財産の買換えの特例」(買い換えの特例)とは、住み替えでマンション売却と新居を購入するときに、売却したマンションの譲渡価格よりも買い換える新居の購入価格が高いと適用できる制度です。
買い換えの特例により、マンションを売却したときには譲渡所得税はかかりません。
なお、この制度の適用期間は2021年(令和3年)12月31日までです。
マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
マンションを売却して売却損が発生すると、譲渡所得税はもちろんかかりませんが、譲渡損失額と、その年のほかの所得を損益通算(利益と損失を相殺すること)できます。損益通算によって所得税や住民税を減らせることになります。
売却した年で譲渡損失を相殺しきれないときは、その翌年から最長3年間、各年分の所得から繰り越して控除できます。
ただ、合計所得が3000万円を超える年は控除を受けられませんし、現時点では2021年(令和3年)12月31日までに住宅を売却していることも条件となります。
これら特例を適用するには、一定の要件があります。特例の適用を検討する際には要件を確認するほか、他の特例や控除と併用できるかどうかも確認したうえで、どの特例を適用するのか決めましょう。
信頼できる不動産会社であれば、こういったことも相談に乗ってもらえるでしょうし、内容によっては相談できる税理士を紹介してもらうこともできると思います。
まとめ
住み替えを検討する際は、住み替える必要が本当にあるのかを考えてから、マンション売却価格の相場を把握するなどして、資金計画を練りましょう。
住み替えるときは、マンションの売却と新居購入のタイミングが一致するのが理想ですが、売却・購入どちらかが先行するなどして、理想通りにならないこともあります。そのときも焦らず、できる限り安易な値引きを避けつつマンションを売り、納得できる価格で新居を購入したいものです。マンション売却、新居購入で利用できる税金の特例も使って、住み替えで後悔しないように計画を立てて行動しましょう。