マンション売却は「買取」と「仲介」のどちらが良い?

不動産会社を介してマンション売る方法には「仲介」と「買取」があります。
「仲介はややこしそう・面倒そう。簡単そうで確実に売れる買取で売りたい」と思うかもしれません。
実際のところ、この2つの方法は何が違うのでしょうか。また、どちらを選べばよいのでしょうか。
「仲介」と「買取」の違い
「仲介」とは、マンションを売りたい人(売主)と買いたい人(買主)の間に不動産会社が入り、売買契約をとりまとめる方法です。
「仲介」はマンション・戸建て住宅に限らず不動産を売る最も一般的な方法で、不動産会社に「マンションを売りたい」と相談したら、まずは仲介の説明をしてくれるはずです。
不動産会社は売主の依頼を受けてマンションの広告を出したり、店頭にマンション情報を掲示したりする販売促進活動を行い、買主を探してくれます。
また買主が見つかれば、売主と買主の間に入って契約が成立するようにまとめてくれる、いわばサポート役といえます。
一方、「買取」とは不動産会社が買主となり、売主のマンションを直接買い取る方法です。
その後、不動産会社は新しい買主を見つけて、マンションを売ります。
仲介と買取のどちらも、最終的にはマンションが欲しい人の手にわたります。
しかし、売主側から考えると、不動産会社が仲介としてサポートしてくれるのか、売る相手が不動産会社になるか、という大きな違いがあるのです。
先にもお話ししたように、マンションを売る一般的な方法は仲介です。つまり、売主の多くが買取よりも仲介を選んでいるのです。
なぜ買取は選ばれないのでしょうか。それを知るためには、買取のメリット・デメリットを理解する必要があります。
買取のメリット
買取の最大のメリットは、短期間でマンションを確実に現金化できることです。
仲介だと買主を探す期間が必要です。いつ買主が見つかるのか、そもそも買主は現れるのか、誰にもわかりません。
1~3か月程度で売買契約が成立することもありますが、1年たっても売れない場合もあります。
もしずっと売れなければ、値下げを検討する必要も出てきます。
その点、買取の場合は不動産会社と金額や条件などの交渉がまとまれば、すぐに売却できます。
そのうえ、不動産会社との交渉次第ではマンションを引き渡す時期も設定でき、住み替えの計画が立てやすくなるのもメリットといえるでしょう。
ほかにも買取には次のようなメリットがあります。
CHECK!
- 仲介手数料がかからない
- まわりの住人に売却することを知られない
- 購入希望者(個人)とのやりとりが不要
- 購入希望者にマンションを見せる必要がない
買取のメリットは、仲介のデメリットの裏返しです。つまり、仲介だと仲介手数料がかかったり、内覧で自分の暮らしているスペースを見せたりする必要があります。
買取のデメリット
買取の唯一にして最大のデメリットは、仲介よりも売却金額が低くなることです。安く買って高く売れば、それだけ不動産会社の利益になるのです。
これに対して、仲介を担当する不動産会社の役目はあくまでサポートです。売買契約を成立させて仲介手数料をもらうことが、不動産会社の目的になります。
一方、買取は不動産会社が買主になるので、できるだけ安くマンションを仕入れて、販売価格との差額(売却益)を大きくすることが不動産会社の目的になります。
不動産会社にとって、あなたのマンションは仕入れで、仕入れ価格=買取価格が低いほど利益が出ます。
不動産会社がマンションを売るための人件費、事務手数料、税金、売れなかった場合のリスクも考えると、不動産会社が利益を確保するには販売価格の60~80%程度で買い取る必要があるといわれています。
高く売りたい売主と、安く仕入れたい不動産会社の間で利害が対立するわけです。
マンションの条件や不動産会社によって買取金額は上下しますが、売る相手は不動産のプロなので、仲介よりも低い金額になることは覚悟しておかなければなりません。
仲介にするか買取にするか
多くの人が仲介を選んでいる理由は、買取よりも仲介の方がマンションを高く売れるからです。
仲介と買取では数百万円のレベルで金額に差が出ることもあるので、基本的には仲介で売却することをオススメします。
ただし、マンションの条件や売りたい人の事情によっては、買取が適している場合もあります。
買取に向いている条件:築年数が古いマンション
マンションの築年数が古い、または設備や間取りが最近のトレンドから外れているマンションは買主が現れづらく、売れ残ってしまうケースがあります。
売れなければ、最終的には値下げせざるを得なくなりますし、値下げしても売れないかもしれません。
時間がかかるうえ、売却金額も低くなるなら、早い段階で不動産会社に買い取ってもらったほうがよいでしょう。
また不動産会社の中には、築年数が古いマンションをリフォームして販売するノウハウを持っているところもあるので、人気のないマンションは買取のほうが適しているともいえます。
買取に向いている条件:早く売る必要がある
仲介の場合は買主を探す時間がどうしても必要ですし、探す期間も買主が現れるまではっきりしません。
たとえば、「海外への転勤が決まった」「相続したけれど税金の支払期限が迫っている」といった理由で、どうしても早く売る必要があるなら買取を選んだほうがよいこともあります。
一般的に買主が現れるのを待てない事情があるのなら、すぐに売却できる買取を選んだほうがよいでしょう。
買取に向いている条件:訳あり物件
「訳あり物件」とは、何らかの欠点・欠陥=瑕疵(かし)がある建物や土地のことです。
不動産取引における瑕疵には、主に以下の4種類があります。
- 心理的瑕疵 … 過去に自殺や殺人事件、火災による死亡事故などが発生した。
- 物理的瑕疵 … 雨漏りやシロアリ被害、土壌汚染など建物や土地自体に欠陥がある。
- 法律的瑕疵 … 法令上、新たな建物を建築できない(再建築不可)または建築制限がある。
- 環境的瑕疵 … 近隣に悪臭や騒音を誘発する嫌悪施設(工場など)や暴力団事務所がある。
このほかに物件自体に瑕疵はないが、相続や権利関係の問題などで売るのが難しい以下のようなケースも「訳あり物件」といわれています。
- 共有持分 … 夫婦や兄弟などと共有名義で不動産を持っているが、自分の持分(共有持分)だけ売りたい。
- 底地(借地権付きの土地) … 借地人がいるため、第三者が土地を買っても自由に利用したり、転売できない。
「訳あり物件」には明確な判断基準はないものの、買い手がつきにくいため、普通の不動産会社では査定や買取を断られたり、相場よりも安く買いたたかれてしまうケースも多いようです。
もし「訳あり物件」を売るなら、「訳あり物件専門の買取業者」に依頼するのが得策かもしれません。
買取なので売却までスピーディーなのはもちろん、独自の販路や物件の再生ノウハウを持っているため、普通の不動産会社よりも高値で買い取ってくれる可能性があります。
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仲介に向いている条件:立地条件が良い
駅から数分の距離にある立地条件の良いマンションであれば、売れる確率が高いため、仲介を選ぶのが一般的です。
特に複数路線が乗り入れている主要駅に近い利便性の高いマンションは人気が高く、金額設定を間違えなければ、すぐに買主が見つかります。
これはマンション購入では立地を重視する人が多いからであり、築年数が古くても買主が見つかるケースはよく見られます。
もし買取と仲介で迷ったなら不動産会社へ正直に相談してみましょう。しっかりした不動産会社なら良いアドバイスをしてくれるはずです。
買取で後悔しないためには
マンションの売却方法として買取を選択したとしても、なるべく高く売りたいはずです。
売ったあとに後悔しないために、買取の準備からはじめましょう。
相場を知る
まずはインターネットで中古マンションの相場を調べてください。
大手不動産会社のWebサイトでは、知りたいエリアのマンション情報を簡単に入手できます。
同じマンションの物件はもちろん、築年数・面積・駅までの距離などの条件が似ている物件を探し、マンションの価格がどれくらいかを確認します。
ただし、こうした大手不動産会社のWebサイトでわかる価格は「売り出し価格」や「参考価格」です。
実際に売れた価格ではないということを念頭に置いておきましょう。
そうした情報を集めておいて、不動産会社にいくらで買い取ってもらえそうか、おおよそのイメージを固めてから買取の相談に行きましょう。
不動産会社を選ぶ
買取をする不動産会社には、大手の不動産会社、買取専門の不動産会社、地域に密着した不動産会社などがあります。
高ければ数千万円もするマンションを買い取り、必要であればリフォームなどの付加価値をつけて販売するので、買取を積極的に行っている不動産会社は資本のある大手が多いようです。
しかし、全国展開している不動産会社や買取専門業者だからといって、自分のマンションを高く買ってくれるとは限りません。
地元に密着した不動産会社のほうが地域に合った独自のノウハウを持っており、高く買い取ってくれるケースもあります。
ですから会社の規模に関わらず、複数の業者に価格査定をしてもらうことが重要です。
複数の不動産会社に査定を依頼するなら、「不動産一括査定サービス」の利用をオススメします。
マンション情報などを一度入力するだけで、複数の不動産会社にいっぺんに査定を依頼できます。
仲介向けがメインのサービスではありますが、なかには買取に対応している不動産会社も多数登録されているので、一度試してみるといいでしょう。
まとめ
売却期間に余裕があるケースや、なるべく高くマンションを売りたいなら仲介を選び、マンションが古かったり、急いで売る必要があったりと、仲介には向かない事情があれば、買取を依頼するとよいでしょう。
仲介と買取のどちらを選んだとしても、複数の不動産会社に話を聞いたうえで不動産会社を決めてください。
1社にだけ話を聞いても、その不動産会社が信頼できるかどうかは判断つきません。
後悔しないでマンションを売るには、信頼できる不動産会社を見つけることが最も重要です。
時間はかかるかもしれませんが、不動産一括査定サービスを使って、しっかりと良い不動産会社を見極めましょう。