不動産一括査定サービス4選

マンションを売却するときは、不動産会社に価格を査定してもらうのが一般的です。
査定を依頼すると、戸建てやマンションの相場が把握できるだけでなく、会社の対応を見て売却の仲介もまかせられるかどうか、知ることができるからです。
査定価格と対応は不動産会社ごとに違うこともあるので、査定は1社だけでなく、複数の不動産会社に依頼したいところ。
しかし、数ある不動産会社のなかから自分で選んで査定を依頼するのは、時間と手間がかかります。そこでオススメするのが、効率よく査定を依頼できる「不動産一括査定サービス」です。この不動産一括査定サービスを提供するWebサイトも多数存在し、パッと見ただけでは違いもわかりづらいかと思います。
この記事では、不動産一括査定サービスとは何か、そして不動産一括査定で有名な4つのWebサイトの特徴などを解説していきます。最後まで読めば、自分に合ったサービスが見つかるでしょう。
不動産一括査定サービスとは
「不動産一括査定サービス」は売却したい不動産の情報を一度入力するだけで、複数の不動産会社に査定を依頼できる無料のサービスです。
物件の住所や間取り、広さ、自分の連絡先などを入力し、査定依頼方法の選択、依頼したい不動産会社を選ぶだけで操作は完了します。
この手軽さが不動産一括査定サービスにおける最大のメリットです。
2種類の査定依頼方法
先ほど挙げた「査定依頼方法の選択」ですが、査定依頼の方法には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
机上査定
ユーザーが送った物件情報をもとに、似たような物件の取引事例や周辺の不動産相場などから査定額を算出します。マンションに関しては類似の売買事例が多くストックされているので、信頼に足る精度を実現します。
また、所要時間は30分~1時間程度と短いのも特徴です。気軽に依頼できる反面、現地調査を行わないことから訪問査定よりも査定額の精度は落ちます。
訪問査定
不動産会社の担当者がユーザーの物件を実際に訪問し、マンションだと「管理状況」「周辺完了や立地」「日当たりや眺望」「敷地に接している道路」「建物の共有部分・専有部分・設備の劣化具合」「登記情報」「各法規制」の情報をもとに、査定額を算出します。
机上査定よりも相場を反映した結果になり、価格の精度は高くなります。
一方で、訪問してもらう日時を打ち合わせる必要が生じるうえ、調査は時間がかかるので、すぐに結果がわかるわけではありません。
机上査定と訪問査定の違い
机上査定は、依頼から結果がもらえるまでの時間が早すぎて心配になるほどですが、多くの取引事例から算出するため、見当外れな査定額にはならないはずです。
「売却計画を固めたわけではないけれど、近い将来に備え、おおよその売却価格を知りたい」という目的で利用するとよいでしょう。
対する訪問査定は、マンション売却を本格的に考えている、もしくは信頼できる不動産会社がいるときであればオススメです。
しかし、具体的な売却計画を立てていないなら、利用を避けたほうがよいかもしれません。
訪問査定は不動産会社側からみても時間と手間がかかるため、査定後に営業担当者はマンション売却の仲介もしたいと思うでしょう。そのことを軽く考え、訪問査定を受けると、仲介の営業を断るのに一苦労するかもしれません。
もちろん、実情に沿った査定額がわかるだけでなく事前に必要な修繕個所も把握できるといった利点もあるので、マンション売却を具体的に考えている人にとって合っていることは言うまでもありません。
まとめると、机上査定の結果を見比べつつ、マンション売却の仲介を依頼したい不動産会社を絞り込んだ後に、訪問査定を依頼するのがよいでしょう。
不動産一括査定サービスの利用方法
不動産一括査定サービスの、具体的な使い方を紹介しましょう。ここで挙げる内容はあくまで一例で、サービスにより多少の違いがある点はご了承ください。
①不動産一括査定サービスのWebサイトにアクセスする
会員登録の手間はかからず、サービスを利用できます。
②マンションの「住所」「物件種別」を入力する
物件種別は「分譲マンション」「一戸建て」「土地」「アパート」「店舗・倉庫」「農地」などがあり、マンション1室なら「分譲マンション」を選択します。
③物件の詳細や連絡先などを入力する
具体的には、主に以下の情報を入力します。
CHECK!
- 物件の基本情報(住所、専有面積、築年数、間取りなど)
- 現在の状態(居住中なのか空室なのか)
- 所有者(査定依頼する本人が所有しているのか、家族所有なのかなど)
- 希望査定方法(机上査定・訪問査定の選択)
- 個人情報(名前、年齢、メールアドレス、電話番号など)
④査定依頼先の不動産会社を選択する
入力した情報から対応可能な不動産会社が表示されますので、不動産会社を1社もしくは複数社選びます。
⑤情報を確認後、査定を依頼する
入力内容の確認をしたら、査定の依頼は完了です。
その後は、不動産会社からの連絡を待つことになります。
不動産一括査定サービスで返ってくる結果を見比べ、「査定結果が最も高い不動産会社に売却の仲介を依頼しよう」と簡単に考えるべきではありません。
なかには仲介依頼をしてもらうため、わざと高い価格を付けてユーザーの気を引こうとする不動産会社もいるからです。
査定額だけでなく、「信頼できそうな会社か」「売却を任せたいと思える不動産会社か」ということも踏まえ、不動産会社を選びましょう。
「不動産会社選びは慎重に!自分に合う不動産会社の探し方」で、不動産会社の選び方について紹介していますので、参考にしてみてください。
不動産一括査定サービス4選
不動産一括査定サービスは多数存在します。ここでは、有名な不動産一括査定サービスを4つご紹介します。
すまいValue
「すまいValue」の特徴は、まず大手不動産会社6社が運営している点にあります。
6社と聞くと少なく感じるかもしれませんが、いずれも全国にネットワークを持っている大きな不動産会社ばかりなので、参加している会社の少なさはネックになりづらいはず。依頼するなら大手がいい、と考えている人にはオススメのサービスです。
すまいValueは基本的に全国に対応していますし、都市部には強いのですが、地方エリアなどはカバーしていないことがあることは注意しておきましょう。
実績・その他情報
- 成約件数は6社合計で11万8874件(2019年度)
- 売却後のアンケートで「トラブルなく安心・安全に取引できた」と回答した割合96.7%(2016年)
HOME4U(ホームフォーユー)
日本で初めて不動産一括査定サービスを開始した「HOME4U」は、株式会社NTTデータ・スマートソーシングが運営しています。2001年の開設以来、累計査定数は35万件を超えた老舗のサービスです。
提携する不動産会社は大手不動産会社約20社を含む約1300社で、地域密着型の会社も多いため、対応地域が広いのも特徴です。
さらに、悪質な対応している不動産会社がないかを宅地建物取引士が監視しているので、安心感もあります。
イエウール
今回紹介するなかで、提携している不動産会社が最も多い不動産一括査定サービスが「イエウール」です。
その数なんと全国1900社以上。HOME4Uと同じく、大手不動産会社だけでなく、地域密着型の会社も提携しています。
ユーザーからクレームの多い不動産会社は、イエウールから契約を解除できるため、提携する不動産会社に一定の信頼はおけそうです。
また、東京商工リサーチが2018年7月に実施した調査によると、複数の一括査定サービスにおける月間の査定依頼者数はイエウールがトップという結果で、人気の一括査定サービスだとわかります。
SRE不動産
「SRE不動産」(旧名:ソニー不動産)は、同サービスの運営会社であるSREホールディングス株式会社だけが査定を担当するため、正確には不動産一括査定サービスではありません。
ソニー株式会社と共同開発した人工知能(AI)によって、人間では処理しきれない膨大な取引事例をベースに価格を算出したうえで、対象物件特有の情報や売主の要望といった、AIが対処できない情報を担当者が加味して査定します。そのため、ほかの不動産一括査定サービスに負けない精度で査定してくれる可能性があります。
なお、同じ性能のAIを使って算出した推定成約価格と、直近における事例の成約価格を比較して、その誤差率の中央値は約5.9%だと発表しています(誤差率は2019年7月20日時点のもの)。
また、広告にも力を入れているのも特徴です。仲介会社数百社にも積極的に物件広告を展開してもらっており、買主の目にとまりやすくなりそうです。
一方の弱点は、対応エリアが東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県と狭いことです。
不動産一括査定サービスのメリット、デメリット
不動産一括査定サービスにはデメリットがないようにも感じるかもしれませんが、デメリットも存在します。
メリット・デメリットをまとめると、以下のとおりです。
不動産一括査定サービスのメリット
- 無料かつ手軽に利用できる
- 複数社への査定依頼が1回で終わる
- 最適な不動産会社が見つかりやすい
不動産一括査定サービスのデメリット
- 営業がしつこい不動産会社にあたる可能性がある
- 印象を良くしようとわざと高値で査定されることがある
- 連絡先を必ず伝えなければならない
不動産一括査定サービスをきっかけに、相場に沿った適正価格を教えてくれるだけでなく、査定額の根拠やスムーズに売却する方法などをアドバイスしてくれる不動産会社を見つけて、二人三脚でマンションの売却を進めていきましょう。
まとめ
不動産一括査定サービスはここで紹介したもの以外にも数多く存在し、サービスごとに特徴が異なります。今回の記事も参考に、売却予定のマンションの地域を担当している不動産会社があるか、どんな不動産会社が提携しているか、といった観点からも、賢くサービスを利用したいものです。
また、不動産一括査定サービスを複数利用するのも有効です。例えば、大手不動産会社の集まる「すまいValue」と、多種多様な不動産会社が提携している「イエウール」を併用して机上査定を依頼し、より多くの不動産会社から査定価格や提案内容の違いを探ってみるのもよいでしょう。
一括査定サービスの利用後に良さそうな不動産会社を選び、次にそれらの会社に訪問査定を依頼して、その結果から仲介を頼む不動産会社を決める方法はオススメです。
気に入る不動産会社がいなかったらどうしたらよいでしょうか。そんなときは、面倒に感じるかもしれませんが、不動産会社を探し直しましょう。気になる点や不満を持ったまま不動産会社に仲介を依頼しても、スムーズで満足する売却ができないかもしれません。不動産会社選びは妥協せず、根気よく進めましょう。